「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)【テキスト版】

(2)人権を保護する国家の義務に関する取組

 

ウ. 国際場裡における「ビジネスと人権」の推進・拡大

 

(既存の制度・これまでの取組)

 

 我が国は、普遍的価値である基本的人権を保護・促進することを基本とし、国際人権諸条約の国内的な実施に取り組んできた。国連人権理事会及び国際人権諸条約機関の活動・議論に積極的に参加し、国連人権メカニズムを始めとした国際社会における人権の保護・促進にも貢献するとともに、幾つかの国とは人権対話も実施してきている。

 企業活動に直接関わる分野においては、我が国が署名、締結した一部の経済連携協定及び投資協定では、世界貿易機関(WTO)等の貿易ルールと整合的な形で、労働、環境等の社会課題に関する条文を取り入れ、適切な労働基準・条件の確保や環境保護といった価値を尊重すべきことについて、締約国間の共通の理解を促進してきた。例えば、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)では独立の「労働」章、「環境」章や女性参加に関する規定を、また、日EU経済連携協定(EPA)では「貿易及び持続可能な開発」章を設けている。また、日EU・EPAでは、市民社会との共同対話を開催すること等を定め、貿易と持続可能な開発、環境、労働といったテーマについての意見交換を通じ、市民社会が一定の役割を果たすことを定めている。

 

(今後行っていく具体的な措置)

 

(ア)人権理事会等の国連人権メカニズムにおける議論を通じた国際社会における

「指導原則」の履行促進への努力【外務省】

 

(イ)諸外国との人権対話を通じた「ビジネスと人権」に係る取組の推進【外務省】

 

(ウ)OECD、世界銀行等の国際機関等のフォーラムにおける経済活動と社会課題の関係に関する議論に対する引き続きの貢献【外務省、財務省、経済産業省】

 

(エ)産業界のみならず、労働者等の幅広い層の人々が恩恵を受ける経済連携協定及び投資協定の締結への継続的な努力【外務省、財務省、農林水産省、経済産業省】

 

(オ)日EU・EPAに基づく、市民社会との共同対話を今後も定期的に実施(2020年1月に第1回会合を開催)【外務省】