「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)【テキスト版】

(2)人権を保護する国家の義務に関する取組

  

エ. 人権教育・啓発

 

(既存の制度・これまでの取組)

 

  我が国では、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)」に基づき、「人権教育・啓発に関する基本計画」を定め、様々な形で人権教育・啓発に取り組んできた。特に、中小企業向けの人権教育・啓発セミナー等も全国各地で行い、企業向けに広く「ビジネスと人権」に関する啓発を行ってきた。

 企業の行動を促す上では、さらに、広く社会に「ビジネスと人権」に対する理解を定着させることも重要であり、その点につき、市民社会や法曹界等が重要な役割を果たしてきている。

 

(今後行っていく具体的な措置)

 

(ア)公務員に対する「ビジネスと人権」に関する周知・研修

  • 関係府省庁において実施する職員向け講義にて、「ビジネスと人権」の分野の取扱いを検討していく。【全府省庁】
  • 公務員を対象とする人権に関する研修会等において、「ビジネスと人権」を含む各種人権課題に関して周知していく。【法務省】

(イ)「人権教育・啓発に関する基本計画」に基づき、人権教育・啓発を実施

  • 「ビジネスと人権」における各種人権課題を認識しつつ、「人権教育・啓発に関する基本計画」に基づく人権教育・啓発活動を引き続き実施していく。【法務省、文部科学省、関係府省庁】
  • 企業向け人権研修への講師派遣や人権啓発冊子・ビデオの配布・貸出し等の人権啓発活動を実施していく。【法務省】

(ウ)民間企業と連携・協力した人権啓発活動の更なる実施等

  • 人権教育啓発推進センターの活用や民間企業と連携・協力した人権教室等の人権啓発活動の更なる実施を推進していく。【法務省】

(エ)中小企業向けの人権・啓発セミナーの継続

  • 「人権啓発支援事業」として、企業に対する人権教育・啓発セミナーを、中小企業等を対象に引き続き実施していく。【経済産業省】

(オ)人権の尊重を含む社会的課題に取り組む企業を表彰

  • 企業が、社会的課題に取り組む責任を有するとともに貢献可能であることを広く社会が認知することが重要という観点から、人権の尊重を含む社会的課題に取り組む企業を表彰する。【消費者庁、法務省、関係府省庁】

(カ)教育機関等関連機関に対する、行動計画等の周知

  • 人権尊重の意識を高める教育について、学校教育においては、持続可能な社会の創り手の育成も目指している新学習指導要領の趣旨も踏まえつつ、地域の実情や発達段階に応じながら学校教育活動全体を通じて、また、社会教育においては、地域の実情に応じ、地域の学習の拠点である公民館等の社会教育施設において、それぞれ行われており、引き続きそれらの取組を推進する。【文部科学省】

(キ)行動計画の周知や「ビジネスと人権」に関する啓発における国際機関との協力

  • 国際機関と協力しつつ、本行動計画等の周知・普及啓発を実施していくことにより、社会全体としての人権に関する理解促進・意識向上を図っていく。【外務省、厚生労働省、経済産業省】